Forbidden Colours / David Sylvian [介護]
仕事一筋だった父。
音楽の素養は全く無かったのですが、父はこの曲だけは昔から大好きでした。
非常にドラマチックでオケの音が一瞬止みバイオリンソロを奏でる瞬間、その楽曲の世界に一気に引き込まれような気がして私も好きです。
父の数少ないLPのコレクションを納戸から探し出し曲名を確認し入手してようやく聴かせる事が出来たのは、父の症状が出始めてからでした。20年近く「その曲が聴きたい」と言っていたのにも拘らず、
LPプレーヤが壊れているから聴けない!
今忙しい!
クラッシックなんて過去の異物!
関心が無い!
今、北海道だよ…
と言ってそのまま放置してた、酷い息子です(反省。
アルバムの後半に差し掛かる頃には父はソファで気持ち良さそうにウトウトしてましたので、そのまま…
を流してました。
ソロソロ就寝の時間になり、父を寝室に連れて行く為に抱きかかえた時、
父:「今、掛かっていたのは誰の指揮か?」
私:「カラヤンだよ。」
父:「そうか、俺の葬式の時に流してくれ…」
私:「…。」
自分の体が以前のように動かなくなり父は自分の死を覚悟してたのかも知れません。病院の検査の結果が出る前の事でした。私には父の顔を見ずに少しだけ強く抱きしめる事しか出来ませんでした。
私も自分の寝室に戻り、横になった時ふと「自分の葬式の時に流す曲は…」と思い、iTunesを立ち上げこの曲を選びました。
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: ヴァージン・ジャパン
- 発売日: 1991/05/02
- メディア: CD
初めて、映画「戦場のメリークリスマス」にこのヴァージョンあると知った時は驚きました。当時、JAPANの「ブリキの太鼓」の先鋭的な印象が強く、改めて「David Sylvian氏」のソロを聴き直し静かな衝撃を受けました。その頃、4AD系の耽美的な音楽にハマってましたので、彼の静かで深淵な世界に思わず引き込まれました。
今迄、歌詞の和訳の解釈は「禁断の愛(同性愛」等をメインにした物が多くて楽曲の印象から個人的に違和感を感じてました。今回、こちらのサイト「和訳:"Forbidden Colours" by David Sylvian」を拝見させて頂き、楽曲の個人的な印象と非常に近い物を感じ納得しました。
歴史的な神への信仰と人間の営みの矛盾と葛藤がそこに描かれているような気がします。
この曲で、彼の魅力に一気に取り付かれました。更に、Bass(特にフレットレス)を始めてから改めてJAPANを聴き直すと「Mick Karn氏」(ご冥福をお祈りします)の凄さを再認識し愕然としました。
えっ? 父の症状ですか?
父はパーキンソンの症状と衰えを受け入れ、「覚悟から開き直り」に変りました。
今では本人はお気楽&極楽に過ごしており、私と母は毎日振り回されております…
「ボケるが勝ち」とは本当の事ですね…。
…orz
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